世界の景気 2018 12 29

 FRBは、将来の景気減速に備えて、
「糊代」(のりしろ)を確保するために、
利上げを続けているかもしれませんが、
金融市場における「引き締め感」は強いものがあります。
 ニュースでは、アメリカの株式市場において、
FRBの利上げに伴い、
金利負担の多いハイテク株が売られる傾向にあると、
だいぶ前から言われています。
 アメリカの経営者は、現状では、
借金をして新しい事業を始めようとは思わないでしょう。
 一方、アメリカの消費者には、
借金をしてまでも消費をするという「借金文化」がありますが、
FRBの利上げは、このような消費にもマイナスでしょう。
 さらに、世界を見渡せば、
アメリカのドルに自国通貨の為替を固定させている国が多いのです。
 このような国は、アメリカの利上げにあわせて、
利上げをしなければならないのですが、
それでは景気減速となるでしょう。
 かつて、「BRICsの時代」と言われましたが、
このような国々は、FRBの利下げがあってこそ、
そういう時代を演出していたのですが、
FRBが利上げを始めると、BRICsの時代は終わります。
 これは、FRBの金融緩和によって、
膨れ上がったドル資金が、BRICs諸国に流れ込んでいたからです。
 「アメリカ・ファースト」とは、
トランプ大統領の得意とするところでしょうが、
本当は、「FRBファースト」です。
つまり、FRBは、「自己中心的」と言えるでしょう。
 アメリカの国債市場では、
一時期、長期金利が3%前後になりましたが、
「ここが天井だろう」と考え、
大量にアメリカ国債を購入した投資家がいるというニュースがありました。
 これは、2019年は、景気が減速すると予想したのでしょうが、
このような予想が的中すれば、
3%の長期国債は、「プラチナチケット」になります。

二つのドル 2018 7 28
 アメリカの中央銀行であるFRBは、
利上げを急いでいるようにも見えますが、
慎重に進めるべきだと思います。
 FRBは、アメリカ国内の景気や失業率を見て、
利上げを判断しているのでしょうが、
その影響は、アメリカ国内だけですむわけではありません。
 実は、「アメリカ国内で流通するドル」と
「アメリカ国外で流通するドル」があります。
 このような「国内ドル」と「国外ドル」のバランスが、
世界経済には、非常に重要なことであり、
そこへ「FRBの利上げ」という要素が加わると、
このようなバランスが崩れます。
 つまり、「国外ドル」が減少して、
「国内ドル」が増える可能性があります。
 これは、新興国や発展途上国には、
大きなダメージとなります。
 さて、「アメリカ国外で流通するドル」と言うと、
わかりにくいのかもしれませんので、
具体的な事例で考えてみましょう。
 これは、外国為替の専門家の著書を書評で取り上げた時に書きましたが、
ドルには、「仲介通貨」という機能があります。
 たとえば、日本で人気のチリワインについて書きましょう。
日本がチリからワインを買う時は、どうするか。
 ワインの代金を「日本円」で払うことはできません。
チリの人たちは、「日本円」を持っていても、
国内で使うことができず、困ってしまいます。
 日本は、世界で最も信用できる国だと言われますが、
さすがに、チリの人たちは、「日本円」を受け取れないのです。
 だからと言って、日本が「チリ・ペソ」を用意することは困難です。
そもそも、国際的に見て「チリ・ペソ」の流通量は少ないのです。
 このような場合は、日本は、ドルを調達して、
ドルでワインの代金を払うのです。
 これが、基軸通貨の意味であり、「仲介通貨」という機能です。
ドルは、アメリカとは関係ないところで動いているのです。
 もちろん、このような大きな取引は、
ニューヨーク連邦銀行のドル口座を経由していると思います。
 そういうわけで、アメリカが関係していなくても、
世界のどこかで貿易があれば、ドルが調達されるのです。
 輸出ばかりしていると、ドルが貯まってしまい、
輸入ばかりしていると、ドルが減少してしまいます。
 日本や産油国のように輸出するものがあれば、
ひたすらドルが貯まっていきますが、
輸出するものがない国は、ドル不足に悩みます。
 その結果、自国通貨をアメリカ・ドルにしてしまう国があります。
これならば、自国通貨を印刷する手間がなくなる上に、
ドルを調達する手間もないでしょう。
 さて、話が大きくそれてしまいましたが、
アメリカのFRBは、利上げについては慎重に進めるべきだと思います。
































































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